第3回 きららスマホ&タブレット情報交換会


〜デジタルビジョンケアによるiPadを活用した視覚障害者の日常生活と就労の可能性〜

「デジタルビジョンケアによるiPadを活用した視覚障害者の日常生活と就労の可能性」をテーマに、
眼科医であり産業医でもある三宅琢(みやけ たく)先生を講師にお迎えし、
iPadを活用した視覚障害者の就労事例や、日常生活における便利なアプリの紹介、
その活用方法などをお話しいただきました。
講演後は、アイフォンとアイパッドの音声・拡大・とandroidの3グループにて、
ユーザーによる情報交換会をしました。
各グループからは、初体験のアプリに感嘆の声が聴こえたり、
マニアックな内容にじっくり取り組むなど、
グループごとの個性豊かな交流となりました。
懇親会は3テーブルに分かれ、三宅先生、サポートスタッフ、初参加、お久しぶり参加さんを交え、
にぎやかな交流となりました。

日時:2017年2月4日(土) 13時30分〜15時(受付13時〜)
会場:みぶ身体障害者福祉会館 第1・第2研修室
   (京都市中京区壬生坊城町19−4)(電話 075−822−0548)
参加者  36名(きらら21名) 

三宅琢氏プロフィール
 眼科医としてはiPad、iPhoneを使った新しいロービジョンケアの実践を行い、
産業医として様々な障害者の就労環境に関する合理的配慮を指導している。
 現在は東大、神戸理科学研究所の研究員としても様々な障害者の就労、
就学に関する支援システムの開発を行っている。
 東京大学先端科学技術研究センター人間支援工学 特任研究員
 株式会社 Studio Gift Hands代表取締役・産業医・眼科専門医

★自分事きららの実践★


きららは、自分事きららの実現にトライしています。
今回の企画も、受け身で講演を拝聴するというだけでなく、
フロアと共に企画し、講演の中身も自分たちで盛り上げていけるように
事前に参加者より質問コメントを集めました。
三宅先生には、以下の質問から講演のエッセンスを引き出して頂き、
実演と事例を交えたご講演をいただきました。

三宅先生への質問事項ズラリ
●私は小さい時からピアノを習っているのですが最近ピアノの楽譜が読みづらく困っています。
拡大コピーにも限界がありますのでiPadなどを使ってピアノを弾きながら楽譜を読む方法はありますか?
●就労に役立つiPadの活用に興味があります。
就労事例等の今回の講演を聞いたらいろいろ聞きたいことができるかもしれません。
墨字で自分の名前を書くことを補助するようなアプリ、もしくはメモアプリ系で音声読み上げに対応していて、
iPadに手書きで書いた字が、デジタルデータ化されるようなアプリがあれば教えてほしいです。
●見えない・見えにくい人の中には、音声読み上げや見えにくさに特化したアプリだけでなく、
健常者が使っているアプリを同じように使いたいと思っている人も多くいると思います。
ところが、実際に使ってみると、一部分しか読み上げてくれなかったり、
ほぼ使えるけれど、なんとなく使いにくいものであったり、
全く使えなくて残念な思いをしたこともあります。
私たちが開発者側に改善の要望をするときに「こうしたらうまく伝わる」というポイントはありますか?
何かガイドライン的なものが、あるといいのですが、自分の言葉で伝えるのは難しくてあきらめてしまっています。
●ICTの普及により、視覚障害者の日常生活においてどのような可能性が拡がるのか?
事例や可能性が聞きたいです。
産業医の中でも視覚障害者への理解はさまざまです。
理解されていない課題と理解が進むためにどのような取り組みがされているのか?
また、当事者が産業医と面談をして、その結果何らかの対応が必要となったとき、
産業医が会社に指示できる内容は?
視覚障害者であることを強みにすることの重要性、そのために当事者、支援者に求められることについて
●紙の情報を読む方法。例えば、市販の問題集やテキストなど。
※マップや地図の活用方法
●iPhoneやiPadには白黒反転のモードがありますが、これを利用すると、画面上のすべての色が反転してしまい、かえって見えにくいことがあります。
そこで、文字のみ白黒反転を基本としたメモアプリやメールアプリがあれば教えてください。

■三宅琢氏よりメッセージ■
キララの会の企画を通して、おおくの方の笑顔に出会い
あらためて自分の歩んできた5年間が、間違いではなかったと確信できました。
今後とも楽しいコラボをよろしくお願いします。

参加者の声



★ユーザーのお話やアドバイスが一番参考になる

三宅先生の実演を交えたわかりやすい講演を聴かせていただき、参考になりました。
そして、iPhoneの今後の可能性も感じられましたので私も早くiPhoneデビューしようと思いました。
その後の体験会でもたくさんのお話を聞かせていただきました。
その中で私がずっと不安に思っている文字入力のことなどもわかりやすく教えてもらい、
少し不安が和らいだような気がします。
やはり使っている方のお話やアドバイスが、一番参考になると言うことを改めて実感しました。
今回は初の試みで大変なことも多かったのではないかと思います。
スタッフのみなさん、サポートしてくださったみなさん、そしてわかりやすい講演をしてくださった三宅先生、ありがとうございました。

★私達が誰かの役に立てるアプリがあるかもしれない!可能性を見出して

三宅先生、スタッフの皆さま、鳥居寮の職員の方々、ご一緒させていただけた皆さまのおかげで
とても有意義で楽しい時間を過ごすことができました。
ありがとうございます。
私たちは、誰かの力を借りなくては楽しめないのか。私たちはいつも周りに世話をかける弱者でいいのか。
常にその思いがあります。
アイフォンのアプリの驚くべき進化で、今まであきらめていたいろんなことができる可能性に触れ、
もしかしたら、私たちに役立つアプリだけではなく、
私たちが、誰かの役に立てるアプリっていうのもあるんじゃないかなと思いました。
誰かが、私たちに目を貸してくれるアプリがあるなら、誰かに私の耳を貸せるかもしれない。
私はテープ起こしの仕事をしているので、もう少し腕を上げれば、
同時通訳ならぬ同時音声起こしが、できるかもしれないとか。
社会や周囲に支援してもらうだけでなく、私たちにもできる支援があれば、
社会の一員としての自分に自信を持つということを取り戻せるんじゃないか、
そんなことを二日酔いの頭で考えております。
声に特徴のある方のお名前は覚えることができましたが、ほかの、楽しく言葉を交わしてくださった皆様、
正直自分がどなたと話していたのか全然わかりません。
次回お会いするときには、あたかも初対面であるかのような初々しい対応になってしまうかと思いますが、
今後ともよろしくお願いします。

★事例と実演で身のある交流に

多くの参加があり、盛会でした。
三宅先生の話は、アイフォンを使うことにより可能性が拡がること、
実演を交えての事例紹介など、わかりやすかったですね。
グループに分かれての交流会は、グループ毎に特徴がでていて、
参加者にとって、有意義な時間になったと思います。
今後も、さらに実戦的なスマホの可能性を体感できる企画を期待しています。

★就労時に役立つ設定に感動!

たくさんの方に参加していただきありがとうございました。
三宅先生がiPadを活用して視覚障害者の就労や日常生活の手助けを簡単にしてくれる端末であることを
普及し始めて今年で6年。 
現在と、6年前とでは比べものにならないほどのiPadの進化におどろかれていました。
この講演の話の中で、就労時にiPadを導入する際、いろいろ苦労してきた中で、
仕事で使うためのある固有のアプリしか立ち上げることができないような設定を行って、
その設定を解除するためのパスワードを第三者の上司などに設定を任せて、
職場でiPadを導入して、使えるようになったという事例の話がありました。
私も自分が持っている、iPhoneセブン・iPadminiでやってみました。
確かに設定したアプリしか使うことができませんでした。
 高齢者の方や、決まったアプリしか使わない方には良い機能だと思いました。
以下に、その設定方法を記します。

○使用するアプリを制限するための設定方法

設定 → 一般 → アクセシビリティ → アクセスガイドの順でタップしていく。
 アクセスガイド オン
パスコード設定 ぼたん アクセスガイドを解除するときの四桁のパスコード。
ロックを解除したりするときのパスコードとは別のもの。
ショートカット これはオン・オフはどちらでも良い。
 ☆ 使い方
音声読み上げ機能のボイスオーバーを起動させている状態。
設定できるアプリは一つ。 複数は無理。
最初に、私用するアプリを開きます。
ホームぼたんを素早く三回おす。
アクセシビリティのショートカットと読み上げます。 
「アクセスガイド ぼたん」をダブルタップして実行。
一本指で画面の左上の方へ滑らしていってください。
iPhoneの場合は、キャンセル・アクセスガイド・開始・オプションのメニューがあります。
iPadの場合は、
ハードウエア オプション ぼたん・タッチ切り替えボタン・時間制限オプションボタンがあります。
それぞれ設定を終えたら、開始を実行してください。
いま開始したアプリしか動作しなくなります。ホームぼたんをおしてSiriを呼び出すこともできません。
☆ 解除する場合
ホームぼたんの素早く三回おす。
終了ぼたんをおす。
解除するためのパスコードを設定している方は、設定した四桁のパスコードを入力した後、終了ぼたんをおす。
以上です。

三宅先生が講演で言っておられた固有のアプリのみ使えうる方方の一つはこれだと思います。
就労でiPadを活用される方は、この方法もあることを雇い主に言ってみられるのも
就職するときに、やくにたつと思います。