第11回仕事サロン

 
日時 2月22日(日)13時20分〜16時50分
参加者 20名(きらら参加者9名)

内容:第1部 ビジネスマナー講座 「より良い人間関係の第一歩
〜見えないからこそ"見た目"も大切にしたい〜」
講師 北村 敏克(きたむら としかつ)氏
(京都府視覚障害者協会会員、元銀行員)
第2部 意見・情報交換
第3部 白杖などのミニ体験(希望者)
協力 神屋 郁子(かみや いくこ)氏
(京都ライトハウス鳥居寮 歩行訓練士)

 今回の仕事サロンは、社会の一員として働く上で基本となる「ビジネスマナーをテーマとし、
心構えはもちろんのこと、正しい姿勢や名刺の受け渡しなど、
見えない・見えにくいからこそ気になる、そして大切にしたい「見た目」についても
実践を交えて学びました。
講演では、講師の北村さんより35年間の銀行勤務の中でのエピソードや、
営業職や人財教育を通して培われた働く姿勢についてお話頂きました。
●報酬をもらうだけの成果を自分自身であげること。
●障害に関係なく、自分にしかできないところを自信を持ってやっていくべき。
●どんなことでも自分にプラスになることに積極的になり、その気持ちを持ち続けることが大切。
●視覚障害者だから、晴眼者と同じような仕事ができないと卑下することなく、
自分ができることで、絶対他の人には負けないという自信を持てるくらいの力を持つこと。
そうすれば道は開けるのではないか・・・という力強いメッセージも頂きました。
ビジネスマナーの実践の後には、参加者からの質問も具体的に飛び出し、
「知りたいを共有する」というサロンらしい交流もできました。

<講師・北村 敏克氏プロフィール>
 緑内障で強度弱視(1級)。
2005年、視力障害者福祉センター卒業。
 現在、鍼・灸・あん摩治療院を京都市と城陽市の2箇所で開業中。
 以前、35年間、銀行勤務。
在職中に人事教育などを担当。

★これだけは知っておきたいビジネスマナートピックス★

■立位■

「★軽く足幅をあけ、頭の上から糸でつられているようにまっすぐを意識し、
あごをひく。
力が入ってない状態、これが基本姿勢。
あごをひくと、しっかりとした印象になる。
お話する時は、軽くあごをあげるほうがきれいに声がでる
相手の目を見る時、口元を意識してみる。
口元をやわらかくすることで、にらんだようなきつい目つきにはならない。

■あいさつ■

★会釈は15度
首は曲げずに腰から前に15度たおす。

★お辞儀は30度
足幅は狭く両手はズボンの縫い目に置き、首は曲げずに腰から30度前に倒す。

★最敬礼は60度
足は揃えて、両手はズボンの縫い目に置き、首は曲げずに腰から60度前に倒す。
心から謝罪する気持ちになれば、自然に60度倒れる。
特に最敬礼の時に首だけが曲がっているのは、誠意がないように感じられるので要注意。

■座位■

★椅子はを音を立てずに、自分が座るのに必要な幅だけひく。
★面接の場合は、椅子の座面の真ん中あたりに座り、手は膝の上に置く。
顔はまっすぐ相手の方を向き、あごはひく
★会議など、長時間座る際は、
椅子の背もたれまで背中が当たるように深く座る。
深く座ることで安定し、せすじがまっすぐになり、疲れにくい。
★食事の際は、椅子はなるべく前にひき、
後ろを通る人に迷惑がかからないようにする。

■上座と下座■

一般的には部屋の奥川、入口から遠くが上座となる。
上司と一緒の時は上司より先に座らない
上座からお茶が出されるが、上司より先に飲まない。

■名刺の受け渡し■

★上司の次にあいさつする。
★名刺を名刺入れに入れる時は
自分のほうに向けて名刺を入れておく。
それを先様のほうに向きを変えてお渡しする
自分の胸の高さから名刺を差出し、
所属と名前を伝え、あいさつをする。
名刺は両手で渡すか、右手で渡す。
「こういうもんです」は絶対にNG
高い位置から渡すのは失礼になる。
先方の名刺を受ける時は必ず両手で受ける。
自分が名刺入れを持っている状態なら、名刺入れの上で両手で受ける
挨拶の後、商談や会議などに入った場合、
名刺入れの上に名刺を置いたまま、机のうえに置いておく。
もし、その時受け渡しをしたのが3名だったならば、
座っておられる順に従い、名刺を並べておく
後で裏にメモし、おぼえかきとする
後日見てもわかるように、名刺ホルダーで整理する

■身だしなみ■

男性のスーツの場合、
基本的にはポケットにものをいれないこと。
むねにボールペンをさすのもNG
ポケットにいれるならうちポケットのみ(財布とハンカチ)
本当に使うハンカチは後ろズボンのポケットに入れておく。
携帯等の持ち物は手持ちのバクにいれる。
ワイシャツは清潔さに留意し、アイロンをかけておく。
ネクタイも結構汚れるので要注意。
髪のふけは目立つのでブラシで落とす。
髪の寝癖もきちんと整える。
靴の汚れもふく。
講習、大衆に注意する

■礼儀■

上着と帽子は必ず室内ではぬぐ
声の大きさを意識し、適材適所を考えて話す。
話す早さも気をつける
言葉使い、胃パン的に通用する言葉で話す

■その他■

★歩く時は、立位の基本姿勢で歩く
背中はまっすぐ、特に膝を曲げないときれい。

★車の上座
運転席の真後ろが1番目の上座
後部座席進行方向左手側、2番目の上座
1番目の上座と2番目上座の間が3番目の上座となる。
下座は助手席

★エレベーターの乗り降りは、
部下が入口に配慮する
視覚障害者の場合は、上司から気遣いされる場合があるので
そこは好意に従う。

★お辞儀の時に膝を曲げるのはよくない

★上司との飲食の時、フォーマルではない歓送迎会などの咳では
乾杯後は、上司が先に箸をつけるのを待つことなく食事を始めてもよい。
上司との飲み会では、視覚障害者からお酌をすることは困難であり、
上司から受けることばかりになりがちだが、
上司に話をしてもらえるような対話に留意することで、
相手に喜んでもらえるように努める。
種にの話を聴いて、相手に得意になってもらったり、
相手から聞かれても、聞き返すことで、先方が主体の対話となるよう、
聴き手に回るように配慮する。
そのためには、自分の引き出しを広く持つようにする。

★あいさつの姿勢は、挨拶をする本人どうしは見えないが、その周りの人が見ている
相手の人にあいさつするだけでなく、誰も見ていないとわかっていても、
門の外であいさつするなど、
自分自身の心の中での感謝の意を
あいさつという見える姿勢として示すことが大切。

参加者の声

★初参加 一歩を踏み出す気持ちを忘れずにいたい! 初めての参加でしたが、皆さんには温かく迎えて頂きありがとうございました。
私は、去年の5月までは晴眼者でした。
みえにくい・みえない世界でビジネスマナーってどうするんだろ?とずっと思っていました。
実際に病気になってから半年間、お化粧もうまくできなくなったり、
周りが気にかけて色々支援してくれていたので
「それは出来るよ。」と思っても甘えたままでした。
どうせ私は見えてないし、余計なことして皆に迷惑かけたくないし、
甘えておこうという気持ちでいました。
講演を聴いて、そういう考え方ではなく、
晴眼者とともに自分で出来ることはやるという一歩踏み出す行動力が大事と学びました。
見えにくい世界にまだまだ不安や恐怖感が強く、
マイナス思考になり閉じこもりたくなる気持ちにも多々なりますが、
一歩を踏み出す気持ちを忘れずにいたいと思いました。
また、自分は何も出来ないとばかり思っていましたが、
弱視で見えている部分の世界を、
見えない人に伝える大切な役割があるのではないかなと思いました。
視覚障害になってまだ1年も経たず皆さんから力を頂くことばかりだと思いますが、
皆さんと共に一緒に歩んでいけたらと思いました。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
本当にありがとうございました。

★初参加 これからもサポーターとして活動していきたい! きららランチ会にて、お話させて頂いたみなさん、ありがとうございました。
私は晴眼者で、京都のシステム開発会社で働き、
スマートフォンのアプリ開発を行っています。
会社には4月に入社し、以降見えない・見えにくい方の勉強会や活動に参加しております。
昨年の8月には視覚障がい者ガイドヘルパーの資格を所得しました。
今回、きららの会には初めて参加しました。
きららの会は皆さんが、とっても明るくて、
時に真剣に、時に面白く話が出来る、素敵な場所だと感じました。
また、若い世代の方が先輩たちとつながれる、特に若い人にとって、心強いことだと思いました。
私自身、晴眼者ではありますが、人生の先輩たちの話に励まされ、元気をもらいました。
これからは、サポートスタッフとして参加したいと思っています。
どうぞ、よろしくお願いします。
仕事サロンは、
社会人1年目の私にとって、背筋が伸びるお話しでした。
(実際に姿勢の練習もあり、頭のてっぺんから糸で引っ張られているように〜と
背筋を伸ばしました)
なんとなく、とりあえずかしこまって渡していた名刺は
スムーズに渡せるようになりそうです。
また、場面ごとに深さが違う(会釈は15度、敬礼は30度、最敬礼は60度)という事は知らなかったので、
仕事の中では必要なときに気を付けたいと思いました。
今年の4月からは、社会人2年目!
ビジネスマナーに気を付けて、頑張りたいと思います。

★仕事サロン初参加 これからの出会いに期待! 仕事サロン、ランチ会に初めて参加させていただきました。
本当にありがとうございました。
ランチ会では、みなさまとお話できて楽しかったです。
ビジネスマナー講座では、
今年の3月に大学を卒業する私にとって、勉強になることばかりでした。
今まで学生の身で、名刺交換はしたことがありませんでしたが、
これから社会人になると、そのような場面も出てくるかもしれないと思いました。
この講座で学んだ多岐にわたるマナーを実践していきたいです。
私は今まで、見えないかたや見えにくいかたとの交流の機会があまりなかったので、
きららの会に出会えて良かったです。
きららの会を紹介していただいたこと、きららの会を通して出会えた方々には本当に感謝しています。
そして、まだお会いしたことのないかたとの新たな出会いも楽しみにしてます。

★見えないからこそ見た目を意識、働く姿勢が大事! ランチ会は普段通り、フランクに近況をお話でき、楽しかったです。
初めましてのメンバーさん、仕事サロンは初めてという方、
いろんな心模様の中、情報交換でき、良かったです。
20、30、40代と、
同世代と言ってもそれぞれの抱える状況は違いますが、
縦、横のつながりを見出しながら、自分にフィードバックできる何かが見つかるのが、
フランクなランチ会ならではの良さなのだろうと思います。
今の自分だけでなく、かつての自分を振り返ることもでき、
また、今20代、30代の仲間のファイトや、もがきや、
そんなあれこれを感じることで、
私自身考えさせられることも多く、感謝しています。
仲間とのつながりの中で、自分の成すべき仕事が何かを考えていきたいと
再確認できました。
サロンでのビジネスマナーや働く姿勢というのは
見える、見えないなんか関係なく、
一人の社会人として当然身に着けることであり、
見えないことを理由にせず、でも、その範囲でのマックスの礼を尽くし、
また、心がけていることを相手に伝えることが、
何よりの礼節になることを実感しました。
誰も見ていなくても、門の外できちんと礼をするというエピソードも
大変共感できました。
誰も見ていないところなど、ないということです。
第3者が、自分の知らないところで自分を見ているということ、
それは、自分は見えていないけど、周りは常に見ているということを
意識して行動できるかということですよね。
この部分は、意識をどう持つかで、随分異なってきますが、
身だしなみだけでなく、活きる姿勢の部分で、
背筋ののびた自分であり続けるというのは、しんどいことですね。
でも、一社会人としては、そこがいわゆる差が付くところなのだと感じました。
サロン全体としては、固い部分と、実践でのサロンらしさもあり、
良い機会になったと思います。
お辞儀の姿勢は、理屈はわかってもなかなか難しいものでした。
首は曲げずに、腰からお辞儀する、
頭ではわかるのだけど、首筋にものさしを入れておきたい気分です。
見え変から無作法なのは仕方ないと、思われるのは嫌なので、
初対面でのごあいさつには多少の緊張を持って、接してきました。
名刺の受け渡しの作法は、
これまで自分がしていた通りで満点だったので安心できました。
11回目となる仕事サロン、毎回リアルな刺激があり、次回も楽しみです。

★見えない・見えにくいからこそ基本マナーが大切 仕事サロンのランチ会は今回が初参加ですが、皆さんの近況報告などいろいろ聞けて
楽しかったです。
ビジネスマナーについては、以前勤めていた会社で教育を受けたことがあるのですが、
今回は、自分自身への再認識と何か有益な情報などが得られると思い参加しました。
ビジネスマナーの中で、一番注目されていたのが名刺交換だったと思うのですが、
私は仕事上名刺交換する機会が多かったので、
皆さんが見えない、見えにくい中でどのようにしてめいしこうかんするのか
気になるところでした。
私にとってこの名刺交換は、相手のことをよく観察できる大切な時間です。
いくらビジネスマナーの教育を受けたとはいえ、相手から学ぶことも多いと思います。
今回は、おじぎ、名刺交換、会議室での上座・下座の位置関係などについての
講座でしたが、
見えない、見えにくいからこそ基本マナーを身に着けておく必要があるように感じました。と言っても実践で使うのはなかなか難しいものです。(笑)
出席者の皆様、有難うございました。

★見えないからこそ実践してわかることがある! ランチ会は、少人数でゆっくり話ができました。
初参加の方もいて、みなさんの近況が聞けて良かったです。
見え方や今の立場は違い、それぞれの抱える状況は異なりますが、
貴重な情報交換の場になったと思います。
2時間のランチ会があっという間に過ぎました。
サロンでは、ビジネスマナーについて再確認できました。
民間企業で仕事をしていますので、それぞれの話題が実感できました。
ビジネスマナーや仕事をする姿勢は、
見える・見えないに関係なく、社会人として必要なことです。
見えないからできないのではなく、こうしたらできるということを考えながら、
見えない中で工夫をしながら、最大限に能力を発揮することが大切だと再確認できました。
また、お辞儀の実践がありました。
30度の敬礼をしたつもりが、15度の会釈になっていて、
頭ではわかっていてもできていませんでした。
見えないからこそ、実践することで認識することができました。
ランチ会からサロンまで、充実した1日になりました。
当日、お会いしたみなさん、ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。